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東洋医学

東洋医学は、明治時代になって、国の方針として迷信扱いされて来た過去があります。 今も、その影響が残っていて、否定的な書き方をしている文献を時々見かけます。

しかし、ツボや漢方薬については、その効果が公にも認められる時代になっています。

東洋医学では、その理論が、人間の体のことだけでなく、自然界を理解する中でも使われています。 また、その理論が、ひとつの症状や、体のひとつの部分に対してのものではなく、体全体の話を対象にしています。 こういったアプローチは、分析(分類や分解)を徹底して進めて、分けられた部分だけを見て行く、いわゆる科学的なアプローチとは異なっています。

筆者の場合は、もともと体が丈夫な方ではないので、自分の体質改善で、いろいろと試して来ています。 そうした経験を元にして、このページをまとめています。 このページは、あくまで筆者個人の理解をまとめたものになります。

「気」というと、筆者の場合、マンガで見たイメージがすぐに出てくるので、「相手にぶつけるエネルギーの塊」という感じなのですが、 東洋医学では、実際に「気」を扱っています。

実体がよくわからないものですが、「エネルギーのようなもの」という表現が一番近いようです。

経絡(けいらく)とツボ

経絡は、体の中にネットワーク構造のようにして広がっているものです。 ツボは、その終端や途中のポイントで、経絡にアクセスする場所になります。 鍼灸は、直接的にツボを対象にします。

ヨガにはいくつかの側面がありますが、そのひとつに、経絡の曲げ伸ばしをすることで、経絡を活性化する効果があるようです。 また、間接的にツボに刺激を与える効果もあるようです。

漢方薬

西洋医学の薬は、次々と新しいものが開発されます。 「新しい病気には、新しい薬」となっています。

東洋医学は、今も昔も変わらないような人間の不調を扱うためだと思うのですが、「新しいものを開発」という発想よりも、 先人が経験的に発見したレシピを今も大事にしています。

「なぜ、効き目があるのかわからないけれども、効く」というものです。

東洋医学の進め方

東洋医学は、まず、気・血・水(き・けつ・すい)を診ます。 そして、「証(しょう)」を決めます。 「証」というのは、病状や症状のことです。 そして、証が決まると、治療法が決まります。

東洋医学の治療は、バランスと流れの調整です。 陰陽五行説 、等の、物事の関係についての理論を使います。 強過ぎるものを弱めたり、弱いものを補ったりします。 流れが詰まっていれば、刺激を与えて、取り除いたりもします。

東洋医学による心へのケア

東洋医学は、身体の不調について語られることが多いですが、ストレスなど、心の問題も無関係ではないです。 心の問題について、東洋医学では、 心理療法 のように、「何を、どのように考えているのか?」ということを調べたりはしません。 身体の状態を良くすることで、前向きな気持ちや、ストレスがストレスにならない心の状態になるようにして行きます。

東洋医学の仕組み

東洋医学の特徴は、2つあるようです。 ひとつは、全体を見てから、部分(問題が起きているところ)を見ることです。 もうひとつは、交互作用の効果を積極的に使っていることです。

交互作用の科学

データ分析では、複雑な物を要素に分け、どれが結果に影響しているのか?、という調べ方をすることが多いです。 変数が多い場合は、「どの変数なのか?」と調べます。 因果推論 は、こういうアプローチをします。

交互作用 もそうですが、交互作用は、 実験計画法 でよく知られています。 2つ以上の変数の積(掛け算)の効果を扱います。

交互作用は、因果の説明がしにくいので、避けられる傾向がありますが、 そうはいっても、漢方薬の効果は交互作用の効果としか思えないものがあります。



参考文献

東洋医学

和漢診療学 あたらしい漢方」 寺澤捷年 著 岩波書店 2015
西洋医学、漢方医学、鍼灸医学をルービックキューブの3つの面と考えて、3つの方向から病気や体の不調を見て、治療する医学を「和漢診療学」と 呼んでいます。 「死ぬことはないが不調で生活の質が悪い」と分類できる病気に、特に有効な分野としています。
この本の全体的な内容は、漢方医学による見方や、漢方薬の解説が多いです。


東洋医学のしくみ 気・血・津液から鍼灸、漢方治療まで」  兵頭明 監修 新星出版社 2009
東洋医学の様々な分野の解説から、どういう場所でその治療を受けられるかまで、広く解説されています。


「けいらく」で体を整える 東洋医学・経絡で考える すっきりしない自分のためにできること」 刑部正道 著 現代書林 2021
気や経絡は目に見えないものとしていますが、それに対して施術することで効果があるのは、自律神経系の改善としています。
経穴(ツボ)は、気の出入口。経絡は、気の通り道。
著者は脈診を中心に診断を行います。 短時間で面白いように身体の状態がわかる方法ですが、何となくわかるようになるまでに、1〜2年、しっかりと診断できるようになるまでに10年くらいかかるそうです。
YKC社の測定器を使うと、自律神経系の状態がわかり、著者の施術前後の変化がパソコンの画面上に、目に見える形でわかるそうです。


東洋医学のきほん帳」 伊藤剛 著 学研 2014
東洋医学と西洋医学の両方ができる方が著者で、著者の考えがあります。
舌の見方がかなり具体的です。
五行説には、行き過ぎた理論も生まれているそうです。
全体的には、医師が患者を診察する時の視点で書かれている感じです。


基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書」 平馬直樹・浅川要・辰巳洋 監修 ナツメ社 2014
東洋医学全体に共通する理論や知識を、コンパクトにたくさん解説しています。 ほねつぎや、気功など、個別の流派についての解説もあります。


マンガと図解 これからの東洋医学」 川嶋朗 監修 日本文芸社 2016
西洋医学を補う方法という位置付けで解説しています。 東洋医学の本は、日本や中国で発達した方法の話が多いようですが、この本では、世界の伝統医療や、代替医療も解説しています。


東洋医学(ツボによるセルフケア)

速効!簡単!経絡健康法 東洋医学が教える“経絡”を知れば、ツボ&マッサージの効果が倍増!」 三采文化 著 日東書院本社 2012
前半が経絡の効く様々な健康法で、後半がツボの図鑑になっています。


実用 東洋医学」 根本幸夫 著 池田書店 2008
陰陽五行説 の考え方等の、東洋医学に関係する理論について、簡単に触れた後、 65の症例(肩こり・発熱)について、漢方薬・ツボ・食養を解説しています。


やさしい東洋医学」 伊藤隆・木村容子・蛯子慶三 監修 ナツメ社 2016
身近な不調へのセルフケアで扱っている症状が多いです。 低血圧の対策が書いてあるので、筆者としては、とても参考になりました


神田橋條治が教える心身養生のための経絡・ツボ療法 」 神田橋條治 著 創元社 2020
独自の手技を開発していらっしゃいます。 指先から出ているビームをねじる方法。 労宮、湧泉、という手足の中心にあるツボを使う方法。


東洋医学(ストレッチ・体操)

心と体がよみがえる経絡ストレッチ ツボを結ぶライン“経絡”を刺激する健康体操」 村井玉枝・中村勝美 著 池田書店 2012
経絡の改善になるように考案されたストレッチの方法が、体系的に紹介されています 自分で自分のケアができる方法になっています。


からだ巡りヨガ大全 すぐにカラダの変化を実感!伸ばす・流れる・蘇る」 高村マサ 著 日経BP 2020
経絡の改善にヨガの動きを取り入れる方法や、ツボを刺激しながら身体を伸ばす方法を紹介しています。


からだとこころを整える魔法のバランスレッスン」 永露江未子・上古都香 著 たま出版 2016
「五臓の色体表」という、陰陽五行説をベースにした表を使った治療の先生と、 「バーオソル」という、バレエの分野で研究された、ヨガのような体操の先生が著者です。 東洋医学と西洋医学の融合の、ひとつの形が作られています。


経絡・ツボの網羅的な解説

経絡・ツボの基本」 森英俊 監修 マイナビ 2014
全身のツボの図鑑になっています。


図解 東洋医学 人体の経穴<ツボ>と経絡」 守口龍三 著 ナツメ社 2014
4割くらいが全身のツボの図鑑になっています。


漢方薬・食養生

漢方のひみつ」 秋葉哲生 監修 青木萌 文 おだぎみを 漫画 学研パブリッシングコミュニケーションビジネス事業室 2011
漢方の定義や歴史などの話もありますが、この本の特徴は、ツムラ社が実際に行っている漢方の生産について、 原料の確保の仕方から、製造方法まで詳しく書かれていることです。


自閉症は漢方でよくなる 記憶・学習/意識編」  飯田誠 著 講談社 2010
漢方薬の効果は、含まれている生薬のどれかであると考えて、5年間研究を続けたけれども、まったくわからなかった事例があるそうです。 漢方薬の効果は、個々の生薬ではなく、生薬の組合せの効果としています。


ライフスタイルブック」  劉伶・劉暁非 著 文芸社 2001
季節や体質に合わせた食材の選び方や、食べ方を紹介しています。


気の科学 宇宙と人間と気」 品川嘉也・河野貴美子 著 総合法令 1993
「気」について、歴史的なことから、世界の様々な地域における類似のもの、その実体の解明に向けた実験まで幅広く解説されています。
気は、電磁波ではないものの、電磁波に何らかの影響を与えるもののようです。 また、実体がわからないものの、脳波の違いという点で、気功師と一般人の違いや、気功をしている時と、そうでない時の違いという、調べ方をすると、 違いがあるそうです。
気功の鍛錬を自己流で進めると、自分でコントロールできなくなって、幻覚や頭痛につながるそうです。 適切な指導者の指導の元で鍛錬すれば、そのようなことは起きないのですが、様々な流派があるので、自分に合う指導者を見つけることが必要になるそうです。


気功の科学 大脳生理学が解明した「東洋の神秘」」 品川嘉也 著 光文社 1990
脳波による気の研究方法の解説のあと、日常での気功の実践方法になっています。


「気」のつくり方・高め方 実験データが明かした「気」の正体」  佐々木茂美 著 ごま書房 1991
気功師が水に気を入れると、電気伝導度が変わることが、実験で確認でいたそうです。
また、ツボのある場所は、電気抵抗が違うそうです。


気とエントロピー : 医者と患者に役立つ東洋医学」 帯津良一・槌田敦 著 ほたる出版 1999
東洋医学に詳しい外科医師と、エントロピーに詳しい環境経済学者(物理や化学の経歴もお持ち)の対談集です。 前半は、タイトルの通りの内容です。 エントロピーで気のはたらきを説明する試みが議論されています。 「エントロピーとは何か?」、 「気や気功とは何か?」と言ったことの説明も多いです。 後半は、気持ちの状態と、がんの症状についてや、 治療法の選び方についての議論です。


「氣」ってなあに」  根岸宏衣 著 人間の科学新社 
著者の持っている「気」のイメージを、詩のような文体で、書き綴った内容になっています。


骨格のゆがみの改善から、体の不調を改善するアプローチ

骨格のゆがみの改善から、体の不調を改善するアプローチは、東洋医学ではないのですが、 「西洋医学ではない」という位置付けなのは、東洋医学と同じになっています。


整形外科医が書いた正しいカイロプラクティック」 竹谷内宏明 著 五月書房 2004
医師の資格を持ちながら、カイロプラクティックの実践を進めている著者の本になっています。
・カイロプラクティックは学問として確立している点が、個人の知識と技量に依存する整体とは異なる。 ただし、資格制度が整備されていないので、現状では、知識や技量が十分ではなくても、カイロプラクティックの専門家を名乗れてしまう。 そのような専門家からは、適切なカイロプラクティックが受けられない。
・カイロプラクティックが直接扱うのは、背骨と骨盤の修正が中心。 腰痛には効果が高い。 さらに、骨格・神経・筋肉には関係があるので、自律神経失調症などにも効果がある。


背骨&骨盤ゆがみを直せば若返る! おうちでできるアメリカ発カイロプラクティック」 おおたとしまさ 編著 ダイヤモンド社 2015
背骨や骨盤のゆがみが神経を圧迫したりすることで、体の不調につながることから、 ゆがみを直す体操を紹介しています。 この本では、普段は自分で予防をしたり、改善を進めて、自分ではどうにもならない時に施術院に行くと良いとしています。
部位ごとに左右に動かす方法が多いです。


ゆがみを直す整体学 西洋医学でもない東洋医学でもない整体学という第3の医学」 宮川眞人 著 彩図社 2017
肩胛骨と股関節のゆがみの修正を中心とした治療法を提唱されています。 これらのゆがみの修正が、体全体の健康の改善になるという理論です。 また、これらのゆがみの原因は、生活習慣などではなく、肝臓と腎臓の疲労としています。


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