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群論

群論は、対称性を扱う数学の理論です。 群論を使うと、対称的なパターンを網羅的・体系的に導き出せます。

物理学の群論

結晶は、3次元で原子が規則的に並んでいます。 群論を知っていると結晶構造には、様々なパターンがあるとしても、群論から導き出されているパターンのどれかになることがわかります。

物理学的には、そのパターンが成立している時に、原子はどうなっているのか、といった事が研究対象になってきます。

群論を使った研究の例

筆者の場合、修論で氷の結晶構造のシミュレーションをした時に、初期配置を間違えて、見た事のない結晶構造に収束したことがあります。 この時、指導教授がその構造が、群論では何に分類されているのかを調べてくださいました。

これは、修論の発表会で、「新しい結晶構造を発見しました」と発表しました。 発表後に、 「今回は、エネルギー的な最適解のひとつが見つかったということ。エントロピー的な観点で、どのくらい安定的な構造なのかがわかると、もっと良い研究になる。」と、別の先生にアドバイスしていただきました。

社会学の群論

「同じパターンが繰り返される」、「変遷の仕方に循環がある」、「パターンに対称性があり、共時的、通事的な変化がある」といった現象がある場合、 群論で表現できるようです。

構造主義 では、そのような現象が見られるのも、人間社会がひとつの構造の中で起きているように解釈しています。



参考文献

群論

美しい数学入門」 伊藤由佳理 著 岩波書店 2020
数学とはどういうものかという説明している本ですが、群や行列の話が多めです。 家紋のように、2次元で対称性があるもので群を説明した後に、行列の紹介になり、 群が行列で表現できる話につながります。 そして、これに、特異点という特徴があることを紹介しています。


群論なんかこわくない」 小松建三 著 数学書房 2012
文系の人が群論を学ぶストーリーで脚本のような書き方をしています。 詳しくは書かれていませんが、このストーリーの登場人物は、コンピュータサイエンスのゼミに参加するための準備として、群論を勉強する必要があるそうです。 (ということは、コンピュータの理論の中でも群論は重要なようです。)
数字の置換から説明を始め、置換の操作をする時に、結合法則、単位、逆が成り立つものを群として説明しています。


見える!群論入門」 脇克志 著 日本評論社 2017
図を使って、群論がどのような事を扱っているのかを解説しています。


初めて学ぶ人のための群論入門 」 横田一郎 著 現代数学社 2019
群論を初歩的な数学で解説しているような本になっています。


物理学の群論

物性物理学のための 群論入門」 物性物理学のための 群論入門 著 培風館 1983
群論の説明と、量子物理学の説明をしています。


物性物理/物性化学のための群論入門」 小野寺嘉孝 著 裳華房 1996
「応用群論」の簡易版のような本です。


応用群論 群表現と物理学」 犬井鉄郎・田辺行人・小野寺嘉孝 著 裳華房 1980
分子や結晶には対称性がありますが、その表現方法として、群論を使っています。


社会学の群論

思想の中の数学的構造」 山下正男 著 ちくま学芸文庫 2006
筆者が読んだのは、文庫版です。 元の本は、1980年に発行されています。
社会を研究する分野に群論が使われていることを紹介していますが、その他の数学の理論の話もあります。
取じた世界だと、群構造になるように、物事が変わって来る。親族構造の他に、八卦を紹介。 異なる思想の間に群構造がみられることもある。




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