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紙の山の分析

筆者は、社会人2年目くらいから、「データ分析をして、役に立つ結果が出せる人」というように、 社内で見ていただけるようになり、データ分析の仕事がだんだん増えました。

ある工程の大ベテランの方に、「お手伝いできることがあれば」と申し出たところ、 「何かのデータを調べてもらうより、紙で出て来ているものを集計してもらう方がありがたい」と言われました。

千枚以上あったように記憶しているのですが、紙になっている画像データを、言葉にして、集計する作業をしました。

ただの集計なのですが、その集計によって、大ベテランの方は、装置で何が起きているのかをつかむことができて、改善につながりました。 ちなみに、この話は 自分で測定したデータが決め手に のページと似ています。

たのしい分析

紙の山から、必要なデータを拾って集計する分析は、その後、違う会社でも、何度か経験しました。

けっこうな量なので、私以外にやっている人を見たことがありませんが、早ければ2、3時間、長くても1日あれば終わります。

「紙をめくって、メモして」の繰り返しを、をチャッチャッチャと、リズム良く進めるのは気持ちが良いですし、何より終わった後に達成感があります。

この集計をすると、関係者が断片的に何となく認識していた事実が、一枚のグラフで明確に表現されます。 そのグラフがあると、意思決定が非常に早くなります。

紙の山がそびえているので、一見すると大変ですが、結果的には、確度が高く、スピーディーな分析になります。

「急がば回れ」と言いますが、この場合は逆です。 回らずに正面の山を登った方が、得るものが大きいです。

信頼関係につながる分析

最初の事例の時は、「役に立った」ということだけではありませんでした。 その後、大ベテランの方が筆者を信頼してくださるようになり、お互いに足りないところを補完し合うような関係になれて、 様々なテーマが進むようになりました。

こうしたことは、別の現場で紙の山の分析をした時もありました。


信頼関係につながった理由はいくつか考えられます。 まず、紙の山の集計をすると、「パソコンでできる、楽な仕事を選ぶ人」という見方をされなくなります。 おそらく、これが一番大きい理由です。

また、紙の山は、その現場のエッセンスが入っているので、それに取り組むと、「現場を理解している人」という見方をしていただけるようになります。

DXには適さないテーマ

この分析の話をすると、「データはDXすべきだ。画像はAIに処理させるべきだ!そうすれば、劇的に時間が短縮できる!」ということを考え始める方がいらっしゃいます。 DXやAIの推進が失敗する原因と、その対策 のページがありますが、この分析のDX化も、DXやAIが失敗する原因の例です。

たしかに、紙の山が電子データになっていれば、瞬時に集計ができますが、このテーマはDXやAIに適さないことが多いです。

まず、このような分析が必要になることは、滅多にありません。 そのため、デジタル化のための、コストに見合わないです。

また、デジタル化は、数か月単位のプロジェクトになることが多いです。 この点でも、コストに見合わないです。

さらに、数か月も待てないことが多いです。 待っている間も、不具合が続くテーマの場合、対応が遅れると、損害が膨れ上がります。




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