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経済性分析(損得の分析)

このページは、 会社を動かす ための、経済性の分析です。 損得の分析になります。

このサイトでは、似た名前のページとして「 経済性のデータ解析 」というページが、 環境経済学 にありますが、だいぶ違います。

損得の計算

管理会計 」、「経済性分析」、「経済性工学」と言われている分野では、損得の計算が研究されています。 「損得の計算」というと、軽い感じもしますが、設備投資等の意思決定でも重要な部分です。

損得の計算は、計算対象の時間的な変化があったりするため、間違いがよくあるそうです。 「経済性分析」、「経済性工学」には、よくある間違いの研究もあります。

利益の計算

利益は、
利益 = 収益 − コスト
なので、利益を増やすには、収益を増やすこと、コストを減らすことの2つが有効です。 ただし、収益が増えても、収益が増えた分と同じだけコストが増えたら、利益は増えません。

損得計算の原則

損得の計算は、2つの原則に沿って進めると、間違いが少ないそうです。

埋没費用

予想が外れて回収不能になった費用を、埋没費用と言います。 埋没費用は、いったん忘れて、最終的な費用計算の段階で埋没費用分を差し引くと良いのに、 この費用を回収しようとして、無理な理屈を作って、損を重ねることが多いようです。

手余りと手不足

生産能力に対して、過剰に注文がある時を「手不足」、注文が足らない場合を「手余り」と言います。 注文は簡単に増えたり減ったりしますが、働く人の数は簡単には増やしたり減らしたりできないため、 手不足や手余りの状態が起きます。

損得の計算は、手不足の状態の時と、手余りの状態の時で結果が変わるため、 きちんと区別して計算する必要があります。

コスト

「コスト」は、誰でもわかっているようで、実はなかなか奥の深いものです。 考え方や計算の仕方を工夫すると、今まで見えにくかったものが、 お金という尺度で見やすくなったりします。

コスト分析のページ にまとめてみました。

経営分析(財務会計)との使い分け

経済性の分析は、未来のお金(利益)を分析します。 分析をする目的や範囲を、定めることで分析を進めます。 機会損失や、埋没費用のように、お金の価値が変化したことも、分析に含めます。

一方で、 経営分析(財務会計) は、過去のお金を分析します。

管理会計との使い分け

管理会計 では、未来のお金を議論する方法があります。

設備投資の考え方は、管理会計でも、経済性分析(経済性工学)でも出て来ます。 設備の価値が年々変わることを加味する計算は、両方で出て来ます。

使い分けですが、筆者としては、以下のように考えています。

まず、会社の会計に直接影響してくるような大きな話では、 税金や株主から投資を受けていることを加味しなければならないので、管理会計で出て来る正味現在価値や内部収益率を検討する方法が必須になります。

そうではないような、日々の 意思決定 の場面では、経済性分析の考え方が良いようです。



参考文献

経済性分析・経済性工学

正しい意思決定のための経済性工学がわかる本 : 「どっちが得か」を数値化する技術」 橋本賢一 著 日本能率協会マネジメントセンター 2012
排反案 : どれかひとつを選択する状況。判断指標は絶対額(利益や原価)
独立案 : いずれの選択でも良い状況。指標は効率(売上高利益率や投資利益率)
混合案 : 排反案と独立案が混ざった状況。指標は差額の効率
この他に、埋没コスト、機会損失、損益分岐点、時間的価値の考え方について、身近な例も使って解説しています。


おはなし経済性分析」 伏見多美雄 編著 日本規格協会 2002
経済性分析のエッセンスが例題を使いながら、コンパクトにまとまっています。


経営の経済性分析 :意思決定を支援する管理会計」 伏見多美雄 著 白桃書房 1995
はしがきで、会計の分野では、意思決定のための会計が重視されていなかったため、 経済性の分析が重視されていなかったことを解説しています。


経済性工学の基礎 :意思決定のための経済性分析」 千住鎮雄・伏見多美雄 著 日本能率協会マネジメントセンター 1995
1章に経済性工学の必要性がよくまとまっています。


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