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抜き取り検査

工場では、製造工程の途中や最終段階で、製品の検査をします。

ロット単位で生産しているのでしたら、 ロット内の全製品を検査したいところです。 しかし、全製品の一部のデータでロット全体の合否を判断したり、 全製品の物性値を一部のデータの値で代用することが、よく行われます。

顧客の立場からすれば、一部しか検査しないのは手抜きに見えますが、 抜き取り検査をする理由は主に2つあります。

ひとつは、破壊検査(製品が元に戻せないほど壊さないとできない検査)をするケースです。 破壊検査を全製品にしていたら、出荷できる製品がなくなってしまいますので、 一部の製品で実施するしかないです。

もうひとつは、経済的な理由です。 1つの製品の検査に時間がかかれば、受注から納品までの時間(リードタイム)が長くなって良くないです。 また、お金のかかる検査でしたら、検査の数を増やすほど、コストが増えてしまいます。

抜き取り検査の方法は、 JIS になっているものもあります。 下記は、抜き取り検査に関連した 定常状態の工程解析 の話です。

また、抜き取り検査では、サンプルが1個の場合と、2個以上の場合では、できる解析がかなり違います。 1個の場合は、標準偏差(ばらつき)がわからないので、下記のような計算はできないです。

サンプルのデータから、全体の分布を予測する方法

抜き取り検査では、 合否の判定に、サンプルのデータの最大値や平均値で判断する事があります。 この方法では、サンプルは全部OKでも、検査しなかった製品に不合格品が混ざっている可能性について、考慮できていません。

抜き取り検査をする限りは、不合格品が混ざっている可能性は、必ず残ります。

しかし、 予測区間 を使うと、その可能性の数値を見積もったり、可能性が小さい事を確認することができます。

予測区間の範囲が、判定基準を超えるかどうかで判断します。

予測区間を使うので、サンプル数が多いほど、予測の精度が上がります。

抜き取り検査による歩留の予測

歩留(ぶどまり:合格率:良品率:yield)は、 ロット内の合格品の割合です。 当然のことながら、正確な値を知るには、ロット内の全製品のデータが必要です。

しかし、 予測区間 の理論を応用すると、一部のデータから、歩留を予測することができます。

予測歩留の計算方法

この方法では、データ数が少ないと、裾野の広い分布として推定されるため、歩留は低めに推定されます。 この性質があるため、この推定値は、品質管理の点でリスクを考慮した値として考えることができます。 データ数が少ないのに、高めに推定されると、気を付けなければいけない事に気を付けにくくなってしまうためです。




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